『Bloody Call』
長野和泉書き下ろしSS企画
『ある日の彼ら』
第二回:司狼
[司狼のとある一日。]
「ね、ねえ司狼。私も一緒に来ちゃって、本当によかったの?」
後ろをついて来る双葉ちゃんが、戸惑いながら尋ねてくる。
「構わねえって。黎明の奴の許可も、ちゃんと取ったしな」
俺がさっき出した条件――それは、買い物を引き受けるのは構わないが、双葉ちゃんも一緒に連れて行かせてくれってことだった。
いつもの黎明だったら何があっても許可など出さなかっただろうが、俺に来た電話を勝手に切ったことへの罪悪感もあり、渋々ながら今回の外出に承知してくれた。
だが双葉ちゃんは、さっきの俺の説明に納得できない様子で……。
「でも……二人共、私にあんまり外出して欲しくないんでしょ? できれば、学校にもあんまり行かせたくないって言ってたくらいだし……」
沈んだ様子で、そう呟く。
「んー、まあ、黎明の奴はそう思ってるんだろうな」
表面だけの慰めの言葉をかけたところで意味なんてないだろうと思ったから、正直な答えを口にする。
「『黎明の奴は』ってことは……司狼は、違うの?」
双葉ちゃんがおずおずと、こちらの本音を推し量るような口調で尋ねてきた。
この子に会ってから、まだ二週間。
組織の意思と黎明の意思、そして俺の意思の差異を、まだ見極めきれていない様子だ。
俺も黎明と同じように、彼女が今までと同じように学校に通うことを反対してるんじゃないかと思っているらしい。
だけど、俺は――。
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