『Bloody Call』
長野和泉書き下ろしSS企画
『ある日の彼ら』
第二回:司狼
[司狼のとある一日。]
「て、てめえ、何すんだよ!?」
「切らなければ、君は話を聞いてくれませんから。どうせ大した話はしていなかったのですから、構わないでしょう」
「決めつけんじゃねえ! さっきの子は多分、勇気を出して俺に電話してくれたんだぞ! それをいきなりガチャ切りされて、ショック受けてねえと思ってんのか!?」
大声で怒鳴ると、黎明の奴は面食らった表情になり、困惑した様子で顔を伏せる。
「……申し訳ありません」
叱られることなんてまるっきり想定していなかったみたいなその反応に、罪悪感を覚え始めてしまう。
……そうだよな。こいつはこういう奴なんだ。
頭は悪くないはずなのにどうしようもないくらい頭が固くて、こう言えば目の前の相手はこういう反応をするだろうって想像ってもんが全然できないんだよな。
あからさまに狼狽する黎明の表情を見ていると、これ以上こいつを叱りつける気にもなれなくなる。
「……買い物に行けって言ってたよな? 何買ってくればいいんだ?」
「あっ、そうですね。お願いしたいものは――」
そう言ってポケットからメモを取り出そうとする黎明に、俺はこう切り出す。
「行って来るのは構わねえが、条件がある」
「条件? それは一体……」
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