『Bloody Call』
長野和泉書き下ろしSS企画
『ある日の彼ら』
第六回:ジン
[ジンのとある一日。]
グラズヘイムの一角、秀真機関の手も及ばない地区にそびえる『NEDE』の居城。
その最奥に位置する一室で、窓の外に見える夜空を眺めながら、ぼんやりと思索を巡らせていた時のこと。
「ボス、面白い物を持ってきたよ」
『NEDE』の構成員の1人・エン=ソフが、いつもの無邪気そのものの微笑みを浮かべながら、傍へと駆け寄ってきた。
「そろそろ部屋に戻ろうと思っている。急を要する話でなければ、明日の朝にしろ」
素っ気無く言いながら彼の傍を通り過ぎようとすると、彼は頬を軽く膨らませる仕草をした。
けれどその後、意味深な笑みを浮かべながら――。
「そんなこと言っちゃっていいのかなあ? 例の女の子の写真と資料を持ってきてあげたんだけど。あんまり意地悪言うと、見せてあげないよ?」
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