『Bloody Call』
長野和泉書き下ろしSS企画
『ある日の彼ら』

第四回:久神
[久神のとある一日。]





私が保健医としてこの学校に赴任して来てから、そろそろ一ヶ月になる。
ここでの生活に、だいぶ慣れてはきたのだが――。
「久神先生、おはようございます!」
「あっ……ああ、おはよう」
こうして挨拶された時、とっさに返事が出て来ず、タイムラグができてしまう。
長い間、挨拶というものが必要ない環境に身を置いていた為だが……これはもう、場数を踏んで慣れるしかあるまい。
そんなことを考えながら、保健室に向かう途中。
「先生、おはようございます!」
聞き慣れた声が、少し離れた場所から飛んできた。
声のする方を振り返ると、案の定――。



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