『Bloody Call』
長野和泉書き下ろしSS企画
『ある日の彼ら』
第三回:渉
[渉のとある一日。]
学校が終わった後、オレはいつものように強くなる為の修行も兼ねて、全速力で秀真邸へと戻って来た。
着替えて一休みしていると……
「渉! そろそろ取り掛からなくていいのか。この屋敷の掃除は、お前の仕事だろ」
オレは慌てて、声のする方を振り返る。
部屋の入り口には、オレが最も尊敬してる相手・秀真凛兄貴が立っていた。
「あっ、兄貴! オレ、今からやろうと思ってて――」
居住まいを正しながら、そう答えようとするけれど……。
「言い訳はいいから、さっさと掃除に取り掛かれよ。このままだと、また夕飯食いっぱぐれるぞ」
兄貴の冷たい視線に、遮られてしまう。
「分かった! そんじゃ、気合入れて掃除してくる!」
オレはそう言い残し、掃除道具片手に部屋を飛び出した。
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